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ルール5ドラフト(現役ドラフト)は日本で成功するのか

こんにちは、ざっきゃとんです。

 

ここ最近、プロ野球で『ルール5ドラフト(現役ドラフト)』なる言葉が注目を集めています。西武・秋山や巨人・丸(まだ違和感あり…w)がNPBに開催を提言したことでニュースになりました。この制度はMLBはもちろん、KBOでも導入されているということですが、海外での実施状況と日本に馴染むのかを考えてみようと思います。

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ルール5ドラフトとは?

ルール5ドラフトは現役選手を対象としたドラフト

いまNPBで『ドラフト』と言ったら、『新人選手選択会議』のことを指します。読んで字のごとく、新人(≒アマチュア)選手とプロ契約を結ぶために各球団が交渉権を得るための会議です。

一方で、『ルール5ドラフト』と言われても文字面だけではピンときません。そこで和訳として『現役ドラフト』という言葉を使用しています。これは字のごとく、現役(=プロ)選手を対象としたドラフトだろうということがわかります。

ではなぜ”ルール5”とかいうわかりにくい名称で呼ばれるのでしょうか。それは、この制度の根拠がアメリカのMLB規約第5条に規定されているからです。第5条だからルール5というわけですね。それと同様の考えで、MLBでは新人選手ドラフトのことを『ルール4ドラフト』と呼ぶこともあります。もちろんこれは規約4条に規定されているからですね。NPB規約の5条ではないので、もし日本で導入されても『ルール5ドラフト』という名前にならないでしょう*1

MLBでは、有望選手がマイナーリーグで飼い殺し状態になることを防ぐことを目的としてこの制度が実施されています。今のチームでは出番がなくても、他のチームに移籍すれば出番があると思われる選手の救済措置です。現在のNPBでは、チームを移るにはFA宣言、トレード、あるいは自由契約になるくらいしか手段がありません。活躍できる能力が見込まれるが出場機会がない選手の移籍手段を増やすのがこの制度の趣旨ということになります。

 

ルール5ドラフトの条件は?

ルール5ドラフトはプロ選手の飼い殺しを防ぐ制度だということがわかりましたが、すべての選手が対象というわけではありません。MLBではどのような基準で対象となるのでしょうか。

所属年数の制限

18歳以下で入団した選手(=高卒入団選手)のうち、ルール5ドラフト実施時点で在籍5年未満の選手は対象外、19歳以上で入団した選手(=高卒入団選手以外)のうち、ルール5ドラフト実施時点で在籍4年未満の選手は対象外です。

入団後、一定期間の所属が条件となっているわけですね。この条件がなければ新人ドラフトが無意味になってしまうので必要な条件です。 

選手登録枠の制限

MLBでは選手登録枠というものがあります。ルール5ドラフトの対象となるのはメジャーの選手登録枠(40人)に登録されていない選手が対象になります。

あくまでメジャーで出場機会のない選手の救済が目的です。この条件がなければ主力選手も引き抜けてしまいます。

獲得球団の条件

獲得する球団はメジャー枠40人(選手登録枠)に空きが無ければならない。また、獲得した球団は前所属球団に10万ドルを支払う。また、獲得した球団は1年間メジャーの選手登録枠(シーズン前半は25人)に登録し続けなければいけません

無償で獲得できるほど甘くはないので、金銭が必要になります。また、飼い殺し防止で獲得するわけですから、獲得した球団はメジャーで使うことが条件になります。 もちろん怪我での登録抹消は可能ですが、その場合規定の日数に満たなければ翌年もメジャー登録し続けなければならないという条件があります。

また故障などなく選手登録枠から外す場合は、選手は元のチームに戻り、元のチームは5万ドルを返還します。獲得チームは5万ドルは払い損になるということです。万が一元のチームが返還しなくてもよいとした場合は、払わず移籍先のチームに所属し続け、マイナーにも落とすことができるようになります。

 

このように制限はありますが、力のある選手にとって移籍して出場機会が得られる可能性があるため、選手側からしたら魅力ある制度と言えるでしょう。

 

ルール5ドラフトで移籍した主な選手は?

MLBでルール5ドラフトを利用して移籍した有名な選手を数名挙げてみます。

ヨハン・サンタナ

アストロズに高卒で入団しましたが マイナーで4年間過ごしました。ルール5ドラフトの対象になる*2と、ツインズに移籍。2003年から2010年まで8年連続二桁勝利、2004年と2006年にはサイヤング賞を満票で受賞するなど大活躍しました。

サンタナはルール5ドラフトで移籍した球団で開花した選手と言えるでしょう。

R.A.ディッキー

ディッキーはナックルボーラーで有名な投手ですね。レンジャースに大卒で入団後、10年間の所属でメジャー16勝を挙げましたが、マイナー落ち後ブルワーズに移籍するもメジャー登板はなし。2007年11月にツインズに移籍するも、12月にルール5ドラフトでマリナーズに移籍します。その後もしばらくは大活躍とはいきませんでしたが、2010年メッツに移籍すると11勝、2012年には20勝を挙げ、サイヤング賞を受賞しました。通算7度の二桁勝利を挙げています。

ディッキーはルール5ドラフトで移籍する前にも、メジャー経験があった選手です。このような選手でもドラフト対象になります。 

エクトル・ルナ 

中日に入団し、2019年も広島でプレーするエクトル・ルナは、インディアンスからデビルレイズにルール5ドラフトで移籍しました。しかし、デビルレイズでマイナー落ちしたため規定によりインディアンスに復帰、その年末に再度ルール5ドラフトでカージナルスに移籍しました。このようにルール5ドラフトの対象に複数回なることもあります。

 

他にも中日、横浜、オリックスでプレーしたトニ・ブランコや、ソフトバンク、巨人でプレーしたホールトンなどなど、日本で活躍した選手でもルール5ドラフトで移籍経験のある選手がたくさんいます。

 

KBOでは導入済

韓国プロ野球(KBO)では2011年にルール5ドラフトを導入しました。MLBとは違い、2年毎に11月末に開催しています。

KBOには、MLBのメジャー枠のようなものがないため、各球団が40人のプロテクトリストを作り、それ以外の選手がルール5ドラフトの対象となるという形式のようです。また指名順位により、前所属球団に支払う譲渡金が異なります。また、獲得した選手を1年間1軍で使わないといけないという制限もありません

MLBとKBOは同じ『ルール5ドラフト』という名称ですが、内容はKBOなりのアレンジがされていますね。

 

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日本で導入する場合の問題点

選手移動の活性化につながるため、NPBの選手の立場からしたら導入は賛成となるでしょうが、NPBとMLBではシステムが大きく異なるため、単純に導入すればよいということにはならないでしょう。私なりに問題点を考えてみます。

メジャー登録枠がない

MLBではメジャー契約、マイナー契約がはっきり分かれており、 メジャー登録枠が決まっています。一方で日本では、個別に2軍に落とせないという条項で契約を結んでいる選手はいるかもしれませんが、1軍2軍は流動的です。契約内容で分類ができないため、KBOと同じように”ルール5ドラフト用のプロテクトリスト”をつくるというイメージになるでしょう。

問題点として考えられるのは、現在非公表とされているFAの人的補償リストが公表される、もしくは一緒ではなくても推測できる内容になることが考えられます。契約に絡むセンシティブな内容なので現在非公表とされているプロテクトリストですが、ルール5ドラフトのリストとほぼ同じ内容になると推測されてしまいます。もちろんルール5ドラフトのリストを非公表とすることもできますがMLBはもちろんKBOでも公開されています。NPBではどうするのでしょうか。

もう一つは、現在あまり日程の縛りが無いNPBのオフシーズンに、新たな縛りを設ける必要があることです。ルール5ドラフトを行うためには、各チームの代表が集まる場が必要です。期日までにリストを作ることを含めて、シーズンオフに新たに基準を設ける必要があるので、固いNPBにその対応ができるかどうかが問題ですね。

対象選手をどうするか

MLBでは新人の数年間は対象から外れるのに対し、KBOでは年数制限がありません。どちらの方式でもメリットはあるでしょう。

年数制限有のメリットは、獲得して数年間は移籍の恐れが基本的にないため、長期的な視野で選手育成計画を立てられる点です。基礎作りだけしたものの活躍する前に移籍という可能性が減るので、チームが選手育成にじっくり取り掛かることができます。これはチームだけでなく選手にとってもメリットになるのではないでしょうか。

一方年数制限なしのメリットは、年数に問わず現在の実力が評価される点です。大社卒など、即戦力で活躍できそうな選手の救済には良いと思います。

個人的には年数制限を設けた方が良いのではと思います。たしかに年数制限なしでは即戦力の実力があるが事情により出場できないといった状況の選手は救済できますが、ポテンシャル採用の選手が育てにくくなるのは球界全体のデメリットに感じます。少数の選手のメリットを考えるよりは球界全体のメリットを考えるべきではないでしょうか。

また、KBOのように、獲得球団に翌年1軍で起用しないといけないという制限がないのも反対です。KBO事情に詳しくないので実情はわかりませんが、プロテクト40人以外は大シャッフルするということになりかねません。育成計画、選手編成が流動的になりますし、フランチャイズプレイヤーが育ちにくくなるなど、年数制限と同じで球界全体でみるとデメリットの方が大きいのではないかと思います。

ウインターミーティングがない

MLBでは、12月上旬に各チームの編成担当が集まり選手編成等を協議できるウインターミーティングがあります。ウインターミーティングがあると、その期間に選手編成がほぼ固まることになるので、ルール5ドラフトの実施はその後に行うことができます。実際MLBのルール5ドラフトはウインターミーティングの最終日に実施されます。

一方で、NPBには日本ではウインターミーティングがありません。なので、例えばFA宣言する選手がいた場合、移籍先の決定は年明けでも可能です。さらにそこから補償の選択があるため、2018-2019年オフの広島のように年明けに編成が固まることはよくあることです。そのため、ルール5ドラフトの実施日が問題となります。年明けに実施するのは遅すぎますし、12月に行うのであればそれまでにFA移籍更には補償内容まで決めるか、あるいはFA宣言中の選手の扱いをどうするかを考えないといけません。MLBのように自動的にFA状態になるわけではなく、移籍に伴う補償もあるため、FA制度との絡みを整理することは必須です。

球団側のメリットが少ない?

NPBでは選手の移籍に非常に消極的です。メジャーに比べてチーム数選手数が少ないので移動が少ないこともありますが、移籍に対してファンの目が厳しいことも大きな理由です。今のNPBでは放出した選手が移籍先で活躍したら球団がバッシングされます。バッシングするのが間違いと言うつもりはありませんが、そうなると球団が躊躇するのも当然です。その状況で、新たな移籍制度を作ることは球団側が二の足を踏むでしょう。

もしメジャーのように有望な若手選手数名と有名選手の複数トレードが盛んであれば、ルール5ドラフトで取られる前にトレードに出す、みたいなことも戦略としてありますが、現状のNPBでは考えにくいでしょうね。

選手にとってメリットがあっても球団にとってメリットがなければ、新たに制度を作ることは容易ではないでしょう。

 

 

まとめ 

個人的には移籍が活発になるのは面白いと思うので、制度の導入を検討するのは良いと思います。ただ、導入するには乗り越えないといけない壁が多く、慎重な検討が必要でしょう。

選手側のメリットだけでなく球団のメリットも考えつつ、またMLB、KBOの現状を分析して、良い制度ができればいいなと思います。

 

この記事を読んでくれた方はきっとルール5ドラフトに興味があって読んでくれたと思うので、NPBに合わせるにはどうするべきか、考えてみてください。 

 

ではまた~☺

*1:日本での制度の正式名称が決まっていないので、この記事では『ルール5ドラフト』と呼びます。

*2:2006年までは高卒選手は所属年数4年間、それ以外は3年間が条件だった