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【映画感想】『女王陛下のお気に入り』は貴族の人間関係の移り変わりが楽しい映画!【2019年その6】

こんにちは、鳩(はと)です。

 

今回は第91回アカデミー賞10部門にノミネートされた『女王陛下のお気に入り』の感想を書いていきたいと思います。

まだ公開されたばかりなので、ネタバレを避けたい方はこの記事を見ないようご注意ください。

 

 

作品概要

2018年 アイルランド・イギリス・アメリカ(日本公開は2019年)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズなど
視聴方法:映画館 

 

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ざっくりとあらすじ 

舞台は18世紀初頭のイギリス、フランスとの戦争真っただ中の宮廷。アン女王(オリヴィア・コールマン) は体調不良もあり政治に熱心ではなく、側近であり幼いころからの友人であるサラ(レイチェル・ワイズ)が代わりに実権を握っている状態であった。そんな中、サラの従妹であるアビゲイル(エマ・ストーン)は、実家の没落から仕事を得るためにサラを頼って宮廷に来る。

女中の仕事をするサラだが、アン女王のために薬草から薬を作り、それを女王が気に入ったことからサラに気に入られて取り立てられる。はじめはサラのために働くアビゲイルだったが、次第に2人はすれ違うようになる。サラはアビゲイルを追い出そうとし、アビゲイルはアン女王に取り入ってサラから女王の寵愛を奪おうとして、女二人の闘いが始まる…

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女王に気に入られようと画策するアビゲイル/『女王陛下のお気に入り』より

 

ストーリーについて

良かった点

脚本に太い筋が通っていて、シリアスなストーリーものとしても非常に出来の良い作品になったのではないでしょうか。

サラは、夫は軍事の重役に、友人は議会与党の重役にして自身は女王の後見人的な立場に収まる一方で、アン女王は体調が悪いこともあってか政治にそこまで関心はなく、ただサラによって満たされたいだけという状態だったため、うまくバランスが取れていました。そこにアビゲイルがあらわれ、今までサラからしか得られなかった愛情がアビゲイルからも向けられるようになるとバランスが一気に崩れる、という流れはわかりやすく質も高い。

結局アビゲイルは没落した地位の回復と安定、名誉が欲しかっただけで、政治力を握りたいわけではありませんでした。最終的にサラを追放してアビゲイルが勝利するわけですが、結果として親友を失ったアン女王、地位を得たもののどこか満たされないアビゲイルはどこか晴れない表情をし、一方国外追放されるサラは夫と吹っ切れたような表情をするエンディングは、どこかモヤモヤとしたものを感じられます。

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アビゲイルは政治力が欲しいわけではなかった/『女王陛下のお気に入り』より

途中、サラはアビゲイルに「(あなたとは)目的が違う」ということを言いますが、うまくやっていたら二人は共存できたのかもしれません。そこを狂わせたのが嫉妬心などの暗い感情であり、人間ドラマとしてのクオリティの高さを感じました。

 

気になった点

ヨルゴス・ランティモス監督の作品を見たことなかったのですが、どうやら監督の作風として、ドロドロの人間劇と過激なブラックジョークが散りばめられる作品が多いようです。この『女王陛下のお気に入り』は、ドロドロさで言ったら少し欠けるかなあと言ったところで、過激なやり合いを期待していくと少し拍子抜けするかもしれません。

一方で、ブラックジョーク(下品な笑い)は非常に多く、そこが苦手な人はもしかしたら好きになれないかもしれません。貴族という高貴な人々が下品な言葉を言いまくるのがギャップで笑えるところなんでしょうけどね。R指定は付いていないようですが、こどもにはあまり見せたくない作品かもしれません。

 

音楽、その他について

良かった点

18世紀の宮廷を舞台にしているということで、弦楽を基本としたBGMは雰囲気に合っていて良かったです。

主役の女優3人の演技が圧巻でしたね。配役上の主役はアン女王役のオリヴィア・コールマンです。アン女王は感情が不安定な役できっと演じるのは難しいと思いますが、見事な演じ分けです。長い時間の顔のアップが映る場面が度々ありましたが、その中で言葉を発せずとも感情が変化していく様を表現しているのは圧巻でしたね。GG賞で主演女優賞を受賞したのも納得です。レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンの2人も主役級の大活躍です。

あとは衣装、舞台も素晴らしいですね。歴史に詳しくないので、史実に忠実かはわかりませんが、豪華絢爛という感じでまさにイメージにピッタリ。作品の盛り上げに大きく役立っています。

 

気になった点

エンディングの曲がエルトン・ジョンの曲らしい(無知ですみません…)のですが、ここまで良い雰囲気の曲だったのにここで歌入り?と思ってしまいました。ちょっと雰囲気に合っていないような気がします。むしろ歌無しの弦楽曲でぜんぜん構わなかったのに。歌詞とかがわかれば馴染んで聴こえるのでしょうか。

 

私の評価

ずばり、

8点(10点満点)

です。

 

素晴らしい作品なのは間違いないのですが、とにかく下品なシーンが多いですよね。監督及びスタッフの作風、趣味趣向だと思うので、こういう作品があっても良いかとは思うのですが、シリアスなストーリーに絞っても十分なクオリティが出せる作品だと思うので、少し残念に私は感じてしまいます。シリアスドラマではなくコメディものとして認識してから観れば良かったのかも。

でもそこが受け入れられる、あるいは大好きな人にとっては、満点をつけられる作品でしょう。ストーリー、演技、舞台背景、BGM、どれをとってもクオリティは非常に高い作品です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

英国の映画賞をはじめとして多くの賞を受賞、ノミネートしている作品なので期待感をもって鑑賞しましたが、納得の完成度の映画だったと思います。アカデミー賞の授賞式前に観たいと思っていたのでうまく時間があってみることが出来て良かったです。授賞式も楽しみですね。

 

では今回はここまで。またね~。

 

 

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